人生は大きく3つに分かれます。0歳~20歳は学生時期、21歳~60歳は社会人時期、61歳~死ぬまでは老後時期。今、この老後時期に苦しむ高齢者が増えています。
老後破産、それは高齢者が年金だけでは生活できず、貧困に苦しむことを言います。NHKの特集で初めてこの言葉を耳にしましたが、正直、見ていて胸が苦しくなりました。今回は、そんな「老後破産」について考えてみました。
誰にでも起こり得る未来です。他人事ではなく、自分事として見てみて下さい。
目次
なぜ起こる?老後破産!!
現在、1人暮らしの高齢者は600万人。その多くは国から支給される年金を頼りに生活しています。年金収入が年間120万円未満の低所得の単身高齢者は600万人のうち約280万人ほどで、生活保護を受けているのは約70万人と言われています。
なぜ、これほどまでに低所得者の高齢者が増えているのか?それは、国民年金の金額設定に問題があるからです。国民年金は保険料を40年払い続けても、月額で6万4000円しかもらえません。
国は憲法で「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」としていますが、これでは最低限度の生活なんかできませんよね。高齢者は介護を必要としますし、1割負担の医療費も積み重ねれば大きな負担になります。
金額だけみれば、破産するのは当然なんです。
独身は赤信号!!老後破産率80%?
現役時代にサラリーマンだったのか、自営業者だったのか、それによって年金額は大きく変わります。自営業者の夫婦であれば、満額でも国民年金は約13万円。現役時代に会社員であれば厚生年金も加算されるので、贅沢はできないかもしれませんが、ギリギリやっていけるでしょう。
しかし、現役時代に自営業者で、かつ独身の人は国民年金が満額でも6万4000円なので、1人ではどうにもなりません。しかも、年金を受け取れる時点で賃貸に住んでいる場合はもう無理です。家賃+光熱費の固定費だけで、年金が吹っ飛びます。老後破産は確実に近づいています。
会社員の年金計算についてはこちらを参考にして下さい。
自営業者の年金計算についてはこちらを参考にして下さい。
結婚していても関係ない!最後は1人・・・
さっきは「独身があぶない!」と言いましたが、実は結婚していてもあまり関係ありません。それはなぜか?絶対に片方が先に死ぬからです。片方が死んでしまうと、その分の国民年金は支給されないため、収入がほぼ半減します。
結果、独身の方と変わりありません。しかし、結婚していた場合は現役時代の仕事によって状況が変わるので、以下に代表的なパターンを記載しました。
夫婦共働き【夫:会社員 妻:会社員】
夫が先に死んだ場合、妻には自分の厚生年金と夫の遺族厚生年金が支給されます。この場合は、厚生年金と遺族厚生年金を合わせて、一般的に月額で約23万(※)は支給されるので、破産とはならないでしょう。
※年金額は個人で異なります。
夫婦共働き【夫:自営業者 妻:自営業者】
夫が先に死んだ場合、妻には自分の国民年金が支給されます。国民年金にも遺族基礎年金というものがありますが、支給条件に「18歳未満の子供がいること」というのがありますので、ほとんどの場合は支給されません。
子供がいても、自分が年金を受取る年齢になっている場合は、子供が18歳以上になっていることがほとんどですからね。この場合は、満額でも月額6万4000円なので、かなり厳しくなります。
夫のみ働く【夫:会社員 妻:専業主婦】
夫が先に死んだ場合、妻には自分の国民年金と夫の遺族厚生年金が支給されます。この場合は、国民年金と遺族厚生年金を合わせて、一般的に月額で約13万(※)は支給されるので、破産するかどうかのギリギリのラインですね。持ち家であれば大丈夫かもしれません。
※年金額は個人で異なります
夫のみ働く【夫:自営業者 妻:専業主婦】
夫が先に死んだ場合、妻には自分の国民年金が支給されます。この場合は、満額でも月額6万4000円なので、かなり厳しくなります。
普通の会社員にも起こり得る未来、全国民が老後破産の予備軍
家族の死亡によって老後破産
夫、または妻が亡くなることで、年金が半分になり、破産していくことはさっき書きましたが、実は子供の死によって破産するケースもあります。元気な時に「子供の世話にはならん!!」と言っていた人も、年をとれば気持ちも弱くなりますし、いざという時には、やっぱり子供を頼りたくもなります。
しかし、頼りにしていた子供が自分より早く亡くなってしまったらどうなるか?子供がいればどんなに年金が少なくても、力を合わせてやっていけます。一緒に住んでくれれば経済的に大きく助かることでしょう。精神面もかなり違ってきます。だけど、そんな家族がもういない・・・。
家族がいなくなってしまうことで老後破産をしてしまう人もいるんです。
事故によって老後破産
60歳までに3000万円ほどちゃんと貯金をして、さてこれからのセカンドライフを楽しもう!という時に子供が交通事故を起こしてしまった人がいます。被害者は後遺症が残るほどのケガで、損害賠償や慰謝料の請求で多額のお金が必要になり、子供のために貯金からいろいろ支払ったそうです。
そして自分の老後は貧困に苦しむ・・・。真面目に生きてきて、こんな最後が待っているとは辛すぎますね。
アルツハイマーで老後破産
妻、または夫が他界して、子供も自立して実家を出ているため、家に1人暮らしをする高齢者が増えています。そんな一人暮らしに落とし穴があります。少しずつボケてきてしまって、いつの間にか正しい判断ができなくなり、いろんな通販や悪徳商法にはまっていって貯金の底をついてしまうケースです。
誰かが一緒にいれば、そんな様子の変化にも気づけるんですが、遠く離れた場所に住む子供にはそんな変化に気づく術もなく、気づいた時にはもう遅い・・・。実家が地方で、自分が都内で働いているような人達は人事ではありませんよね。
大したことはできませんが、こまめに電話するなど、できることからやっていきましょう。定期的に声を聞いているだけでも違ってくるはずです。
まとめ
もし、自分がこういうことになったら?もし、自分の親がこういうことになったら?不安なことばかり考えてもきりがありませんが、このような老後を過ごす高齢者が増えてきているのは事実です。
生活保護という制度はありますが、今、年金収入が120万円未満の低所得者の高齢者が全員生活保護を受けると生活保護そのものが破綻してしまうということもあり、全員を救うことはできません。
これからは、1人暮らしではなく、2世帯や3世帯が一緒に住むような協力し合う生活をしていかないと生きてはいけないのかもしれません。

北野圭

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